キヤノンEOS80Dが2016年3月25日に発売されましたが、その約1年半前に発売された7D2と比較検討してどちらを購入するか迷っている方も多いのではないでしょうか。
80Dと7D2を何故比較するのか
80Dと7D2ですが、この2機種はそもそも位置付けが異なり、同じ土俵で比べるのは本来適切とはいえません。
- 80D:キヤノンAPS-C中級機種
- 7D2:キヤノンAPS-C上位機種
そもそもコンセプトが異なるわけです。7D2はキヤノンのAPS-Cサイズフラッグシップ機ですので、その時点である程度最高性能が求められます。一方の80Dは中級機の位置付けですので、必ずしもそうとは限りません。
にも関わらず何故あえて比較するのかというと、この2機種は発売日に1年半弱の開きがあり、且つ上位機種の7D2が先に発売されているからです。1年半弱という期間は、デジタル製品のサイクルの早さからすればかなり長い期間という事になります。
現に80Dの方がスペック的に優位な点もありますので、詳しくチェックしてみましょう。この2機種でお悩みの方は必見です。
80Dと7D2のスペック比較
主要なスペックを、子供撮影に適しているかなどを交えて細かく確認してみましょう。
イメージセンサーはやや80Dの方が良いか?
- 画素数:80D⇒2,420万画素/7D2⇒2,020万画素
- 常用ISO感度上限:80D⇒ISO16,000/7D2⇒ISO16,000
- 80D、7D2いずれもデュアルピクセルCMOS AFを搭載
イメージセンサーについては、80Dが2,420万画素と、7D2より高画素で解像度高いです。しかしこの点は7D2の2,020万画素でも十分ですし、差が目に見えて分かるほどでは無いと思います。
個人的には7D2の2,020万画素付近がデータ量とか考えると良いのですが、どちらも常用ISO感度の上限がISO16,000を達成している事を考えると、高画素化したにも関わらずノイズを抑えた80Dのイメージセンサーが優秀だと思います。
どちらもデュアルピクセルCMOS AFを搭載しており、ライブビューでの撮影で威力を発揮します。特に動画撮影では非常に有効な機能です。ピント移動もスムーズです。
連写枚数や画像処理エンジンは7D2の勝利
- 画像処理エンジン:80D⇒DIGIC6/7D2⇒DIGIC6×2基
- 1秒間の連写枚数:80D⇒7枚/7D2⇒10枚
- 連続撮影枚数(RAW):80D⇒20枚/7D2⇒24枚
単純に7D2は80Dの倍の画像処理エンジンを搭載していますので、当然処理も高速です。連写枚数も7D2が断然早いですね。ただ、ここまでの連写が子供写真の撮影で必要かというと、そんなに使う場面は少ないと思います。
ただ、7D2は連写枚数を2~10枚の間で任意に変える事が出来ますので、80Dと同等の7枚にすることも出来ますし、あえてもっと遅くすることも可能です。選択肢が多く自由に設定できるのは良いですね。
オートフォーカスは7D2!80Dも健闘!
- 全測距点:80D⇒45点/7D2⇒65点
- クロスタイプ測距点:80D⇒全45点/7D2⇒全65点
- 輝度範囲:80D⇒-3EV~18EV/7D2⇒-3EV~18EV
測距点の数から7D2の65点が範囲が広く密度も高いので、こちらの方が良いですね。
ただ、80Dも45点という事でかなり7D2に近いですし、範囲も広く実用上は殆んど問題ないレベルですね。
どちらもオールクロスタイプですので、どの測距点でも高精度なオートフォーカスが可能です。どちらも優秀ですね。
さらに7D2では、65点じゃ多すぎるという場合でも、21点、9点のどちらかを任意に選択できます。ラフにテンポよく撮りたいなら21点で、シビアにピントを追い込む場合は65点で、など気分や状況で使い分けられるのは便利ですね。
輝度範囲については、どちらも同じ-3EV~18EVで、暗い環境などかなり過酷な状況でもオートフォーカスが可能ですね。
80Dのオートフォーカスでもかなりハイスペックで子供写真の撮影で不満に感じることは殆ど無いと思います。ただ、7D2と比較すると、どうしても7D2の方が上と言わざるを得ないですね。7D2がどれだけハイスペックかという事ですね。
動体撮影機能は7D2の圧勝
- AIサーボAF:80D⇒AIサーボAFⅡ/7D2⇒AIサーボAFⅢ
- 7D2のみEOS iTR AFを搭載
7D2は動体撮影にはかなり力を入れてあるようで、80Dよりも性能は上回っていますね。AIサーボAFがⅡとⅢで異なります。これは、ⅢがⅡよりもさらに精度、安定制御化したものです。
また、7D2にはEOS iTR AFを搭載しており、被写体の特徴を認識しておいたうえで、その被写体を追尾する機能も備えています。
これにより、予測が難しい被写体への追従性能に優れているといえるでしょう。
加えて、7D2はオールクロス65点の広範囲、高密度オートフォーカスを搭載しています。80Dもオールクロス45点を達成していますが、7D2には敵わないですね。この点も動体撮影に影響しています。
子供は動き回る事が多いですし、そういう時にピントを外さず、ブレを最小限に抑えて撮影したいですね。夢中で遊びまわる子供こそ撮っておきたいですしね。
重さは80D
- 80D⇒730g/7D2⇒910g
重さに関しては80Dの方が軽い分良いですね。軽すぎると安定性が悪くてブレの原因になりますが、80Dくらいの重さはちょうど良いくらいかと思います。レンズ込みで1kgちょっとですね。
7D2でも慣れれば大したことないですが、重いレンズを装着したりすると、1日中撮影する場合なんかには結構差が出るんじゃないでしょうか。私が愛用しているカメラも本体だけで1kg弱あり、7D2と同じくらいですが、長時間の撮影では結構疲れがたまりますね。
ファインダー視野率はどちらも問題なし
- 80D⇒100%/7D2⇒100%
どちらもファインダー視野率は100%を達成しており、問題ありません。想定外の写り込みなんかを最小限にすることが出来ますね。この点はどちらも最高の100%なので差はありません。
動画撮影機能は80Dが良い
どちらも60pの滑らかなフルハイビジョン撮影が可能で、デュアルピクセル CMOS AFによって、ピント移動もスムーズです。そういう意味ではどちらの動画機能も遜色ないのですが、操作性に差があります。
80Dは背面液晶が可動できるバリアングル液晶を搭載し、さらにタッチパネルですので、よりビデオカメラに近い操作性を実現しています。タッチした部分になめらかにフォーカス移動してくれますので、プロが撮ったような自然な映像に仕上がります。
動画撮影は80Dの方が撮りやすいと思います。特にバリアングル液晶はローアングルやハイアングルで撮りやすく、動画に限らず静止画でも有効な機能ですね。
その他の特徴的な機能について
- フリッカーレス撮影:80D、7D2どちらも対応
- GPS機能:7D2にのみ搭載
- デュアルカードスロット:7D2のみ対応
- Wi-Fi機能:80Dのみ搭載
フリッカーレス撮影はどちらの機種も対応しています。非常に便利な機能ですね。
7D2のみに搭載のGPS機能については、位置情報を自動的に取得、記録してくれますし、移動ルートも電源OFF時にも記録してくれるので使い方によっては非常に便利に使えますね。
デュアルカードスロットについては、大事なシャッターチャンスを逃す要因を減らせますし、記録メディア入れ忘れ時にも撮影できる可能性が確保できるという点で、安心感を得られる機能と思います。
80Dにのみ搭載のWiFi機能に関しては、写真データの共有を素早くできたり、スマホでカメラのライブビュー画面を見ながら遠隔操作できたりと、案外便利で使用頻度も結構あるんじゃないでしょうか。
それぞれのカメラの優れる点
80D、7D2、2機種のカメラを比較してみましたが、それぞれ優れる点をまとめてみます。
- 高感度耐性を維持しつつ画素数が多い
- 7D2より180g軽い
- バリアングル液晶、タッチパネルで動画撮影などの操作性が良い
- Wi-Fi機能を搭載
- DIGIC6を2基搭載し連写枚数、連続撮影枚数が多い
- クロスタイプも含めオートフォーカス測距点が多い
- 動体撮影機能はAIサーボAFⅢ、EOS iTR AFにより高精度
- GPS機能を搭載
- デュアルカードスロットを搭載
カメラ自体の性能は7D2が上だが、80Dが優れる点も大きい
位置付けや発売日が異なる機種の比較で、色んな意味で公平ではありませんが、現在子供写真の撮影用カメラとして候補に上がりやすい2機種を比較しました。
発売日の関係で、イメージセンサーは80Dの方が進化している印象です。ただ、画素数が多すぎるのも弊害がありますので一概には言えないですが。
それ以外の機能については、オートフォーカスや動体撮影など、主要なスペックに関してはやはり7D2が優れています。このあたりはさすがにAPS-Cフラッグシップ機といったところでしょうか。
細かい点でいえば、7D2のGPS機能やデュアルカードスロットは、使いこなせば結構便利な機能と思いますし、同様に80DのWi-Fi機能も、遠隔操作などはかなり使えるんじゃないでしょうか。
私が最も注視する差は、80Dにのみ搭載のバリアングル液晶と、タッチパネルです。これによって動画撮影機能が飛躍的に使いやすくなっている印象があります。
動画はあまり撮らないという人もいらっしゃると思いますが、キヤノンは動画にも非常に力を入れており、使わないと勿体ないですよ。
一眼レフのボケを活かした動画撮影は、普通の一般的なビデオカメラでは表現できません。
センサーが大きなデジタル一眼レフカメラだからこその利点でもありますし、明るいレンズに付け替えれば、さらに大きなボケを表現することも可能です。
センサーが大きいので画質も良いですし、高感度撮影にも有利です。
この点が非常に大きいのと、7D2が機能面で優れるものの80Dでも十分な機能を備えますので、若干7D2はオーバースペックな気がします。価格面でも差があり、先程アマゾンでボディ単体の価格を確認したところ、
- 80D:113,673円
- 7D2:139,293円
と25,000円以上の差がありました。
個人的には子供写真の撮影であれば、現時点では80Dが良いと思います。私が今からどちらかを購入するとしたら80Dを選びますね。やはりバリアングル液晶+タッチパネルの搭載は大きいです。
まとめ ― 長期的な視点で機種選択を
カメラの機種選びについては非常に悩ましいですよね。でもアレコレ悩んで検討している時って楽しいですよね。
ついついより良い物をオーバースペックと分かっていながらも選択しがちです。
今回の2機種の比較でも、7D2はかなりオーバースペックと思いますが、でも機能的に優れているに越したことは無いんですよね。それに実際数ヶ月撮影してみないと違いがどうとか本当のところは分からないんですよね。
何台かすでに所有している場合は、自分が持っている機種のスペックと相対的に比較できますのである程度の予測はできますが、初めての購入であればそれも分からないと思います。
ですので、今後どういう撮影をするかによっても判断材料にすると良いです。
今回であれば、動画も結構撮りたくて、カメラの基本性能的に最高レベルは求めない、というのであれば80Dで良いでしょう。
カメラの機能は現時点で最高レベルが良いとか、今後激しく動く被写体を頻繁に撮影する予定がある、子供がスポーツをしているところをメインで撮ることになりそう、といった人であれば7D2が良いと思います。
どちらの機種も基本性能は非常に高いので、どちらを選んでも後悔はしないと思いますが。
80Dと7D2の比較まとめ一覧
比較項目 | 80D | 7D2 |
---|---|---|
画素数 | 約2,420万画素 | 約2,020万画素 |
常用ISO感度 | 100~16,000 | 100~16,000 |
画像処理 エンジン | DIGIC6 | DIGIC6×2基 |
1秒間の 連写枚数 | 7枚 | 10枚 |
連続撮影枚数 (RAW) | 20枚 | 24枚 |
測距点 | 45点 オールクロス | 65点 オールクロス |
輝度範囲 | -3EV~18EV | -3EV~18EV |
動体撮影 | AIサーボAFⅡ | AIサーボAFⅢ EOSiTRAF搭載 |
重さ | 730g | 910g |
ファインダー 視野率 | 上下左右100% | 上下左右100% |
フリッカー 対策 | フリッカーレス | フリッカーレス |
GPS機能 | なし | 搭載 |
カードスロット | シングル | デュアル |
Wi-Fi | 搭載 | なし |
背面液晶 | 可動 タッチパネル | 固定 タッチ操作不可 |