子供の写真を撮っていて、必ずと言って良いほど悩むのがブレです。撮った写真を後で確認したらブレた写真ばかりでガッカリ…という経験をあなたもした事ありませんか?
目次
シャッタースピードを速くする方法
ブレない写真を撮るために有効なのがシャッタースピードを速くする事です。シャッタースピードを速くする方法はいくつかあります。
- 絞りを出来るだけ開ける
- ISO感度を上げる
- 露出を暗めに設定する
- フラッシュ、ストロボを使う
絞りを出来るだけ開ける
絞りとはカメラの設定でF値として表示されるパラメーターです。レンズのスペックに依存しますが、スペック内で最大に絞りを開ける事でブレにくくなります。
このF値の値が小さい程絞りを開けている事になります。絞りを最大に開ける事を開放絞り、開放で撮る、などと言います。
絞りはレンズから入ってくる光を調整する機能の事で、絞り込むと光が入ってくる量を制限する事ができます。絞りを調整する目的は、主にピントが合った所以外の部分のボケ具合をコントロールする為というのが主です。
しかし、光が乏しい環境などでは、出来るだけ絞りを開放して撮る方がシャッタースピードを確保できます。子供1人だけを撮る場合などは開放で撮って周りをある程度ボカしてもあまり問題ないでしょう。
しかし複数人数を撮る場合に、ある程度全員にピントを合わせたい場合は、ほかの方法でシャッタースピードを稼ぐか、可能ならピントを合わせる面を揃えるという方法もあります。
ピントを合わせる面を揃えるというのは?
ピントが合うポイントというのは撮影者からの一定の距離に面として存在します。ですのでその面の部分に被写体を揃える、という事です。例えば子供を撮影する時には対象の子供を直線的に横並びに並べて正面から撮るイメージです。
そうすればカメラから全ての被写体までの距離をほぼ同じに出来ますので、絞り開放で撮ってもある程度全員にピントが合います。
現実並ばせるのは無理でしょうから、あくまでそういう事を意識して、ピントが合う面にできるだけ被写体を揃えるように構図を設定したり、自分で移動したりしてピント面を調整するのも良い方法です。
絞りとシャッタースピードの関係
ちなみに絞りとシャッタースピードの関係ですが、明るさ(露出)を同じにした場合、シャッタースピードを2倍にした場合、絞りは√2倍で同じ明るさになります。
√2倍といっても分かりづらいですよね。撮影する際にはおおよそでも問題ありませんので、ざっくり1.4倍と考えれば良いです。
例えば、
- シャッタースピード:1/100秒
- 絞り:F5.6
で適正な明るさ(露出)だったとします。この状態からシャッタースピードを2倍にすると、
- シャッタースピード:1/50秒
- 絞り:F8
で先ほどの設定と同じ明るさになります。この時、シャッタースピードを2倍にしてシャッターを長く開けるように変更した為、変更前より多くの光を取り込むことになります。そこで絞りを√2倍に絞り込むことで入ってくる光の量を減らしているわけです。
- シャッタースピード:2倍
- 絞り:√2倍
というのは同じ明るさを維持する場合はいつも同じです。要するに、もっと大きく変更した場合を例に説明すると、
- シャッタースピード:4倍
- 絞り:√4倍
となります。先の具体的数値に当てはめると、
- シャッタースピード:1/100秒⇒1/25秒
- 絞り:F5.6⇒F11
となるわけです。
絞りでシャッタースピードを調整する時の注意点
以上を踏まえて、絞りでシャッタースピードを調整する際に注意しないといけないのは、次の2点です。
- 周囲のボケ具合の調整
- ピント面の調整
ISO感度を上げる
ISO感度はデジタルカメラのセンサーが光を取り込む能力を数値で表したのもです。ISO感度を上げる事で、より少ない時間でもセンサーが多くの光を取り込めますので、シャッタースピードを速くすることが出来ます。
それなら常にISO感度は高く設定しておくべきかというと、ISO感度を上げることによる弊害もあります。ISO感度を上げるという事は、撮りたい対象の映像信号だけではなく不要な信号、つまりノイズも多く取り込んでしまうんです。
暗い場面で撮るとざらついた感じの写真になってしまうのは、増幅されたノイズの影響なんですね。ですので、シャッタースピードを稼ぐためにISO感度を上げる場合は、画質との兼ね合いを考える必要があります。
日頃からISO感度とノイズの関係を出来上がった写真で確認し、自分の中でのISO感度の上限許容値を把握しておきましょう。このISO感度の許容範囲は、カメラによっても変わるし、人の感覚によっても全く異なりますので、自分で判断するしかありません。
この点については、自分でISO感度変えた写真を見比べて確認したり、撮った写真を確認する際に意識してISO感度をチェックするようにすると、自然と分かってきますよ。
ISO感度を上げてシャッタースピードを稼ぐ際の注意点
以上により、ISO感度を上げることでシャッタースピードを上げる際の注意事項です。
- ノイズ増加による画質の悪化
露出を暗めに設定する
露出を暗めに設定することでもシャッタースピードを速く出来ます。でも、「そんな事したら出来上がる写真が暗くなってしまう!」と思われるかも知れませんが、実はそのとおりです。これは補正が前提になります。
つまり、撮影時にわざと暗めの設定で撮る事でシャッタースピードを確保し、あとからパソコンで明るく補正するというものです。
この方法は結構強引に思われるかもしれません。しかしかなり悪い状況の場合、私は結構使います。この場合の弊害は、色が飽和してしまうことです。
黒にも色んな段階の黒があって、階調と言いますが、階調が狭いと本来の色が再現しにくくなります。階調が豊かだとグラデーションが滑らかに表現されるようなイメージですね。暗すぎて階調が無くなった状態を黒つぶれと言います。
しかし、最近はカメラの性能がかなり向上していますので、少々暗めに撮影しても補正でかなり戻せますよ。一見真っ暗で何も写っていないような写真でも、補正で明るくすれば写っているものが確認できたりします。
あとで補正する前提ですので、補正によって不自然になりにくいRAW(ロウ)という画質設定で撮影しましょう。圧縮しない画質でその分容量は食いますが、後で補正するなら絶対にRAWで撮っておいた方が良いです。
露出を暗くする事でシャッタースピードを確保する場合の注意点
露出調整によりシャッタースピードを稼ぐ際には2つの注意事項があります。
- 露出を暗くしすぎて黒つぶれさせない
- 補正で不自然にならないよう画質はRAWで撮影する
フラッシュ、ストロボを使う
フラッシュやストロボを使えば、簡単にシャッタースピードを稼げますね。撮影現場を強制的に明るくしますのでこれは分かりやすいですね。
しかしフラッシュやストロボは個人的にオススメしません。ナゼかというと、写真が非常に不自然になるからです。その状況の明るさを変えてしまいますので、本当の雰囲気が伝わりにくくなります。
暗い状況だからこそ良い雰囲気の時ってありますよね。そんな良い雰囲気をフラッシュやストロボでは壊してしまい、台無しにしてしまうんですね。
フラッシュやストロボを使った撮影テクニックもありますので、意図的に表現に活用するのは良いですが、シャッタースピードを稼ぐ方法としてはオススメしません。
しかしケースバイケースなので、どうしてもブレるわけにはいかない状況なんかでは、フラッシュやストロボに頼るのも良いでしょう。基本は他の方法で対応する方が自然で雰囲気のある写真になります。
シャッタースピードを稼ぐ際の優先順位
シャッタースピードを稼ぐ方法を大きく4点紹介しましたが、どの方法で対応すれば良いか分からないという人もいると思います。今回紹介した方法をもう一度見てみると、
- 絞りを出来るだけ開ける
- ISO感度を上げる
- 露出を暗めに設定する
- フラッシュ、ストロボを使う
の4つでしたね。
①まずはISO感度を自分の許容範囲内で最大まで上げましょう。最近のデジタル一眼レフカメラには、ISO感度を設定範囲内で自動調整する機能があり、非常に便利です。
さらにシャッタースピードが設定した時間は確保しつつISO感度を上げる、なども可能な機種が出てきました。これらの機能を活用するのも良いでしょう。
②ピント面をコントロール出来そうなら、絞りを最大まで開放にしましょう。この方法は場所の制限などはありますが、画質が悪化する要素が殆ど無いのが利点ですね。ボケ具合が変わるのはシーンによってはマイナスになる可能性はあります。
③それでもまだシャッタースピードが遅すぎる場合は、露出を暗めに設定しましょう。画質はRAWで撮った方が、明るさを調整する際に不自然にならずに済むのでオススメです。露出を下げる場合は最大でも1段分くらいに留めましょう。
④フラッシュやストロボはその場の雰囲気が大きく変わりますので、最終手段にしたいところです。しかし、簡単にシャッタースピードを速く出来ますので、どうしてもブレさせたくない場合などには使うのもアリですね。
子供をブレずに撮影する為に確保したいシャッタースピードはどれくらい?
子供は動きが激しいので、ブレずに撮るためには速いに越したことはありませんが、最低でも1/125秒は確保したいです。屋外なんかで走り回っている時には1/500くらいないとブレる時もありますね。
ある程度は動きのある写真も撮りたいので、流し撮りにチャレンジするのも良いでしょう。結構難しいので、狙って多用するのは、始めのうちはやめておいた方が良いかもしれません。
まずはブレずに撮る事が出来るようになってからでも良いでしょう。
まとめ ― シャッタースピードを確保する方法をマスターしよう!
子供を撮る場合に、ブレは必ずと言って良い程つきまとう問題です。ブレとシャッタースピードはとても密な関係にあります。
それにシャッタースピードを使いこなせるようになると、ブレを制御出来るだけではなく、色んな表現のバリエーションを増やすことも可能になります。
是非マスターして写真の腕を向上させて下さいね。