デジタル一眼レフカメラで写真を撮り始めた方にとっては、色んな設定がありますので、どのパラメーターをどのように設定するべきか悩みますよね。
フルオートで撮っても一眼レフの意味がないだろうし、一体どの設定が正解なのでしょうか。
目次
一眼レフだからといって全てをマニュアルで撮る必要はない
せっかくデジタル一眼レフカメラを購入したなら、オート機能は使わずに全て手動のマニュアル設定で撮るべきじゃないの?と考える人もいるでしょう。
もちろんデジタル一眼レフカメラを買っても、コンパクトデジタルカメラと同じようにフルオートで撮ってるのなら、非常にもったいないです。
しかし、たとえプロであっても、全てマニュアル設定で撮っている人はかなり少ないんです。かといって全てを常にフルオートで撮っているプロもいないでしょう。
じゃあどうすれば良いかというと、ケースバイケースである程度使い分ける必要があります。
オートとマニュアルの使い分けを明確にし、要は良い写真が結果的に撮れるような設定にすれば問題ないです。
設定によってオートとマニュアルを使い分ける
必ずしもフルマニュアルで撮るのが良いとは限りません。
フルマニュアルだとどういう動作になって、オート機能を使うと、どのパラメーターがどのように変化するかを把握し、自分がマニュアルモードの時に設定する動作がオート機能で再現できるのなら、積極的にオートを使うべきです。
その方が自分で設定するより速い対応が出来ますので、シャッターチャンスを逃しにくいですし、一貫した設定が可能になります。
設定を考える手間が省けますので、別の事に気を配る余裕もでき、より撮影に集中できます。
実際の撮影時には様々な事を判断する必要がある
写真は一瞬を切り取るわけですので、短い時間に様々な判断を、素早くする必要があります。
シャッターを開いて映像を取り込んでいる時間というのは、数百分の一、数千分の一とか普通にありますね。
そのほんのわずかな一瞬のシャッターチャンスを逃さないようにしないといけないので、ちょっとした設定によるロスも非常に大きいわけです。
設定に手間取っているあいだにシャッターチャンスをドンドン逃してしまう事になります。
とくに子供写真の撮影は、シャッターチャンスを意図的に作るのはほとんど不可能に近いです。
子供にお願いしてポーズなりとってもらっても、自然な表情は撮れませんよね。そもそもお願いしても9割がた嫌がられますよね。
もちろんハイポーズ的な写真も欲しいのですが、やっぱりカメラを意識しない自然な表情が撮りたいわけです。
その方が真剣な表情や心の底から楽しんで遊んでいる姿を撮れますからね。
主要な設定項目についてオートとマニュアルの違い
それでは具体的に各種主要な設定について、オートとマニュアルの違いや特徴を見ていきましょう。
あなたの撮影スタイルに合せて適時取り入れるなり自分で設定して見るなり工夫してみてください。
露出の調整
写真の明るさを決める露出ですが、マニュアルで設定して撮るのは非常に困難です。
自分の目で見た明るさに対して、シャッタースピード、絞り、ISO感度を明るさが変わる度にいずれかのパラメーターを調整する必要があります。
これをコマメに最適化するのは相当な熟練が必要になりますし、設定を失敗して明るすぎたり暗すぎたりする、失敗写真も多くなるでしょう。
明るさって撮る場所や太陽の照り具合で簡単に変わりますよね。晴れた日であれば、太陽が雲に隠れるかどうかでも露出を変えないといけません。
もっといえば、背景が明る目の色か暗めの色かでも露出を変化させる必要があります。撮影場所が変われば基本、露出は変える必要があると考えたほうが良いでしょう。
しかし都度都度自分で明るさを確認しながら露出を決めるのは大変ですし、あまり現実的ではありません。基本的に露出は自動で撮るのが普通です。
露出を決めるカメラの設定パラメーターは、シャッタースピード、絞り、ISO感度の3点です。これらのパラメーターをカメラにどのように決定させるかを把握したうえで、自動化すると良いでしょう。
露出の調整はカメラに半自動的に実施してもらい、露出補正に関してはある程度状況によって適正露出に調整する、というのが現実的な対応です。
露出を自動で設定するには、大きく2つのモードがあります。
絞り優先モード
絞りを自分で任意に設定し、その時の適性露出になるようにカメラが自動でシャッタースピードを設定します。
絞りを自分で自由に可変しながら撮りたい時に使うモードです。
絞りはピントの合う範囲である被写界深度を自由にコントロール出来ます。
子供の写真撮影に限らず言える事ですが、絞りは写真に大きく影響しますので、常に意識して撮影したいパラメーターなわけです。
それだけでは無く、シャッタースピードも意識して設定する事も出来ます。
暗くて遅いシャッターしかきれないと分かったら、絞りをいっぱいまで開放にすればいいわけですね。手っ取り早いです。
絞りは立体感の調整や主題をどの程度目立たせるかや、さらにシャッタースピードも意識して撮ることが出来ますので、
絞り優先モードは非常に便利です。おそらく使用頻度が最も高いモードになると思います。私も9割方絞り優先モードで撮っていますね。
シャッタースピード優先モード
絞り優先モードと似たようなモードで、絞りとシャッタースピードが逆転したようなモードです。
シャッタースピードを任意に設定すると、カメラが自動であらかじめ設定した露出になるように絞りを調整してくれます。
被写体の動きを写真にどの程度反映させるか、というのをコントロールしながら撮影したい時に使用するモードです。
被写体の一部を意図的にぶらすことで、写真に躍動感を出すことも出来ます。
シャッタースピードは、ブレとも大いに関係があります。どうしてもブレさせたくない場合なんかはシャッタースピードを意識しながら撮影すれば失敗が少なくて済みます。
ISO感度の調整
ISO感度は絞りやシャッタースピードを固定したまま露出を変更することが出来ます。
絞りをこれ以上開放に出来ないけどこのままの露出でシャッタースピードを早くしたい場合や、明るすぎる状況で絞りを開放で撮りたいけどシャッタースピードも下限な場合など、絞りやシャッタースピードの設定限界の時にもさらに露出をコントロールできる可能性があります。
デジタル一眼レフカメラの普及によって、コマメに設定変更することが出来るようになりましたので、利用する頻度が大幅に増えたパラメーターです。
フィルム時代にはフィルムを入れ替えないことにはISO感度を変更することが出来なかったわけですから。
1枚毎にISO感度を変えて撮影できるのは、デジタルカメラならではの機能ですね。フィルム時代には考えられないことでした。
それで、ISO感度の設定に関しては、まだマニュアル設定の方も多いと思います。案外ISO感度を意識せずに撮影している人って多いんですよね。
ちょっと前のデジタル一眼レフカメラでは、ISO感度に関してはオート機能はあまり使い勝手が良いとはいえませんでしたが、最近の機種では設定が使いやすいように工夫してありますので、かなり便利に使用できます。
ISO感度に関しては通常はオートで問題無いでしょう。ただし、オートにする際に必要な設定項目が有ります。
- ISOオートの範囲
- ISOオート時のシャッタースピード低速限界
ISOオートの範囲
ISOオートの範囲に関しては、下限値はISO 100で問題無いですが、問題は上限値ですね。
これは人によって許容できる上限値は異なりますので、色んなシーンでISO感度を変えて撮影してみて、自分の許容できる上限値を設定するようにしましょう。
また、カメラの機種によっても、同じ感度でノイズの発生量などは異なりますので、カメラが変わればISO感度の許容値も変わると考えましょう。
ここで設定した範囲内のISO感度にしかカメラは設定しません。それ以上に調整が必要な場合は絞りやシャッタースピードを変更させる動作になります。
ISOオート時のシャッタースピード低速限界
ISOオート時のシャッタースピード低速限界は、絞り優先モードのみで有効になります。
ISO感度をオートにした場合に設定したシャッタースピードよりも低速にならないようにISO感度を自動的にシフトしてくれます。
これにより、ブレにくい設定が自動で行えるわけです。
ISO感度オートを便利に使いこなそう
ISO感度は、カメラを本格的に始めたばかりという人にとっては、あまり馴染みがないでしょう。
しかし、デジタルが主流の現在において、ISO感度は非常に便利に使えるパラメーターです。
あまり理解しないまま、なにも設定をせずに撮影するのは勿体ないです。失敗写真をかな減らせる可能性もありますので。
常に意識するのは困難な場合でも、一旦オートで設定を最適化しておけば、撮影中はISO感度のことを考えなくてもカメラが自動で最適な設定にしてくれます。
是非一度は理解して自動の設定をしておき、最適な設定状態で撮影できるようにしておきましょう。
ストロボの使用設定
上位機種以外は内臓ストロボを搭載していますので、自動にしておけば暗い状況下では自動で内臓ストロボが発光します。
そういう状況下ではストロボを使用する、と割り切る場合は自動でも良いです。
しかし、ストロボを使用するとどうしても不自然な写真になりやすいので、自分で使用の有無をコントロールした方が思い通りの写真を撮ることが出来ます。
ストロボを使用しなくても、シャッタースピードを確保する方法は色々とありますので、どのような状況下でストロボを使用するか、他の設定で対応するか、優先順位を決めておくと良いでしょう。
ピント合わせ(オートフォーカス)
子供写真の撮影では、ピント合わせは基本的にオートで問題ないと思います。
最新の機種ではオートフォーカスの精度はかなり向上していますし、超音波モーターなどにより合わせる速度もかなり高速化されています。
ピントを合わせる範囲(AFフレームの範囲内)も画面内の大部分の面積をカバー出来る機種が増えてきました。余程画面の隅に合わせる場合以外は問題無いでしょう。
どうしてもAFフレームがない場所にピントを合わせたい場合はフォーカスロックを使うと良いです。
ピントを合わせたい場所にAFフレームを重ねて半押しし、一旦ピントを合わせます。
半押し状態のまま構図を調整したのち、撮影するわけです。
構図を調整する際には、ピントがずれないようにカメラと被写体の距離を変えないようにしましょう。
私のおすすめ基本設定
以上を踏まえて、私が主に使っている設定を公開します。
- 使用カメラ:EOS5DMarkⅢ
- 露出:絞り優先モード
- ISOオートの範囲:100~12800
- ISOオート時のシャッタースピード低速限界:1/125
- ストロボ:内臓は無し、極稀にSPEEDLITE 430EXⅡでバウンス撮影
- ピント合わせ:基本オートフォーカス、フォーカスロックもほぼ未使用
私はこの設定で殆の撮影を行っています。今は子供写真の撮影が殆んどという事もありますね。
ブレを防ぎたい場合には、露出設定でシャッタースピード優先モードを使用する場合もあります。子供写真の撮影には結構良い設定ですので、参考にしてみてください。
ISOオートの範囲の上限値は個人の主観やカメラの違いでも変わってきますので、この部分は変えた方が良いかもしれません。
まとめ ― マニュアルでの設定を自動化して成功写真の確率アップ!
デジタル一眼レフカメラには様々な設定項目があり、状況によってある程度設定変更は必要です。
しかし、それを都度マニュアルで実施するのは、結果的に良い写真が撮れる可能性を減らしてしまいます。自動化すれば色んなメリットがあります。
- 設定が一瞬で出来るのでシャッターチャンスを逃しにくい
- 一貫した設定が可能になり失敗を減らせる
- 構図などの判断に気が回せるのでクオリティを上げられる
自動化出来る項目は自動化して、撮影時の判断項目を減らし、成功写真の確率を上げましょう。
デジタル一眼レフカメラはオート機能の進歩も目覚ましく、精度、速度ともに向上しています。パラメーターによっては人間が設定するよりも最適な設定にしてくれます。
そのような高性能な機能は使わないと勿体ないです。
考え方としては、カメラに多くの設定を委ねるのではなく、意図的に想定した設定を、カメラに実行させるようなイメージです。
あくまでその設定を考えるのは撮影者であるあなたです。
カメラが設定したパラメーターで撮らされるのではなく、オート機能も含めてカメラを使いこなして、自分の意思を反映した設定で写真撮影を楽しみましょう。