子供の写真を撮る場合に重要な要素の一つであるシャッタースピード。一眼レフカメラを使いこなすには、必ず身に付けるべきパラメーターのひとつです。
シャッタースピードを上手にコントロールすれば躍動感のある写真が撮れますし、ブレないような設定も可能です。具体的にシャッタースピードを意識して撮る場合はシャッタースピード優先モードが便利です。
目次
シャッタースピード優先モードとは?
シャッタースピード優先モードと言っても、初心者の方であれば全く聞き慣れないという人も結構いるでしょう。このモードは絞り優先モードと共に、最も扱いやすく使用頻度の高いモードになるはずですので、是非マスターしましょう。
シャッタースピード優先モードはどんな設定か
原理はシンプルで、シャッタースピードを任意に設定し、それに合わせて設定した露出、つまり一定の明るさになるように絞りを自動で調整してくれる機能です。
全て同じ設定で同じ明るさの被写体を撮る場合、シャッタースピードだけを速くすると、センサーに取り込む光の量が減りますよね。そうすると、出来上がる写真はシャッタースピードを速くした方が暗くなります。
その状態でシャッタースピードは変えずにカメラの設定で元の明るさの写真を撮るにはどうすれば良いと思いますか?
方法は2つあり、
- 絞りを開ける
- ISO感度を上げる
のどちらかです。基本的には、絞りを開ける事で露出を調整してくれるのが、シャッタースピード優先モードです。基本的には、というのはISO感度での調整も場合によってはあるのですがそれは後ほど詳しく説明します。
話を戻すと、シャッタースピードを変えた分を絞りで調整するのがシャッタースピード優先モードなわけですが、例を挙げて説明します。
- シャッタースピード:1/60秒
- 絞り:F5.6
という状況で適正露出だったとします。この時、もう少し速いシャッタースピードじゃないと、ブレてしまうような場合に、シャッタースピード優先モードで、シャッタースピードを1/120秒に変更したとします。
つまり一段分だけシャッタースピードを変更する(速める)わけですので、絞りも一段分調整する事で同じ露出になります。
シャッタースピードを速めて取り込む光が少なくなっていますので、絞りは逆に光を多く取り込まなければいけません。
つまり一段分絞りを開く訳です。そのためにはF5.6だった絞りを1/1.4にしないといけないので、F4になります。まとめると、
- シャッタースピード:1/60秒→1/120秒
- 絞り:F5.6→F4
となります。こういった操作を瞬時に行うのは相当な熟練が必要ですよね。それにめんどくさいです。その面倒さを解消してくれるのが、シャッタースピード優先モードなんです。
上記の例でいうと、シャッタースピードを1/60秒から1/120秒に変更したと同時に絞りをF5.6からF4へと自動で変更してくれます。要は、同じ明るさの写真を撮りつつ、シャッタースピードを早く出来る訳です。
これが基本的なシャッタースピード優先モードの動作です。
極力ブレないシャッタースピードを常に確保したい場合や写真に納める被写体の動きをコントロールして躍動感をだしたり、被写体のブレ具合を表現に使ったり、スローシャッターで連続的な写真を撮ってみたりと、工夫次第で色々便利に使えます。
絞りが最大開放F値の場合は露出がマイナスかシャッタースピードを遅くするしかないの?
ここで気付いた方もいると思いますが、絞りはレンズによって、最大の開放F値は決まりますよね。物理的に最大開放F値以上に開放できないわけです。
その場合にどうするかというと、ISO感度で対応出来ます。
ISO感度を上げることでシャッタースピードを速くする事が出来ますので、「絞りが開放F値だけど、もっとシャッタースピードを上げたい!」という場合に有効です。
でもそれでは、自動化できないと思うでしょう。いちいち開放かどうか確認しながらISO感度を調整してなんかやってると、慣れないうちはシャッターチャンスを逃してしまいますよね。
しかし最近の一眼レフカメラには、それを自動化出来る設定があります。ISO感度オートの機能ですが、これがかなり便利なんです。
シャッタースピード優先モードは、先にも説明しましたが、設定したシャッタースピードに追随して絞りを自動調整してくれます。
この時、ISO感度もオートにすると、シャッタースピードを変えたときに、絞りでまず露出を調整します。ところが暗い状況の為に最大開放F値でも露出が暗い場合には、自動でISO感度を上げてシャッタースピードを確保してくれるんです。
この時に、カメラによっては絞りとISO感度のどちらを優先して調整するかや、ISO感度を自動で調整する範囲も設定出来ます。
つまり、ISO感度を自分の許容範囲で設定したりできますので、自分が撮影時に設定したいような動作に近い事を、カメラが自動で瞬時に設定してくれるんです。
これを使いこなせば、シャッタースピード優先モードで被写体の動きをコントロールしながら、なおかつブレにくい設定で常に撮影する事も可能になるんです。これは非常に便利で、私も常用しているオススメの設定です。
マニュアルモードとの違いは?
シャッタースピード優先モードは半自動のようなモードです。
完全なマニュアルモードどの違いは、自動で設定した露出に調整してくれる点です。完全なマニュアルモードは、非常に難易度が高く失敗もしやすいです。正直オススメしませんし、私もまず使うことはありません。
基本的に使うのは、シャッタースピード優先モードか、絞り優先モードですね。プロでもほとんどがそういう傾向のようです。
一眼レフを使いこなすというのは、全てをマニュアルで撮るわけではないと思います。今回紹介したISO感度オート機能や、シャッタースピード優先モードもある意味一種のオート機能です。高性能で有効なオート機能はむしろ積極的に使いましょう。
マニュアルで対応するのは、基本的に自動では再現できない部分についてのみです。シャッタースピード優先モードに例えるなら、被写体の躍動感をどの程度出すかや、被写体の動きに対してどの程度のシャッタースピードを確保するかなどは自動化しようがありません。
そういう自動化出来ない部分の設定や撮影に集中するためにも、オート機能は有効に使いましょう。どうせマニュアルでもオートでも結果同じ設定になるのなら、手間が省けるオートを使う、という考え方です。
シャッタースピード優先モードはどういう時に使うか
- 被写体の動き、躍動感をコントロールしたい場合
- 被写体をブラさず撮影するために一定のシャッタースピードを確保したい場合
まとめ ― シャッタースピード優先モードを使いこなしてブレを制する
シャッタースピード優先モードはその便利さから、使いこなす事で撮影が非常に快適になります。
子供写真の撮影では、被写体である子供が動き回っている場合が多いので、その都度適切なシャッタースピードを選択する必要があります。
シャッタースピード優先モードをISOオートと組み合わせれば、撮影の度に設定するパラメーターが少なくて済み、構図のバランスや背景、順光や逆光などの光の当て方など、他の事に意識を回すことが出来、より良い写真が撮れる可能性が高まります。
写真撮影はそのシーンによって瞬時に色んな事を判断する必要がありますので、一眼レフカメラの設定を最適化し、判断すべき要素を減らす事で、快適にテンポ良く撮影できるようにしましょう。